- わたしは、宮部みゆきのファンを自称しているが、実は偏ったファンである。彼女の得意とする分野(現代少年少女物、現代社会派物、ファンタジー、時代劇)のうち、読んでいるのは現代少年少女物と現代社会派物だけ。ベストは「レベル7」である。時代劇は、これまで手を出さないでいた。読みにくいし、興味はわかないだろうと勝手に自分で自分を決めつけていた。
- 今回、桜ほうさらの文庫版を手にとったのは、装丁と桜色のデザインに惹かれたため。つまりはジャケ買い。時代劇に手を出さないでいたことに後悔するやら、嬉しいやら。こんなにも自分に合うとは思わなかった。切なさが微妙に混じったハートウォームミステリが堪らない。これは、いつもの宮部みゆきであり、時代劇になったからというわけではないのだけどね。「粋」というのが、時代劇になって加わっている。何と言っても舞台は、本所深川・日本橋。貧乏長屋で暮らす訳ありの青年浪人が主人公。どうです、これだけで粋な雰囲気が全力全開じゃないですか? 「ちょっと風流してくるよ?」なんてセリフが飛び出そうじゃないですか?
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2015/12/17
- メディア: 文庫
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