• まだ時間が余っているので西武池袋デパートの屋上に上がる。気温が低めで曇天なので、夏のデパートの屋上が快適だ。ビールを飲みたいところだな。ビーチにおいてある半ベッドような長いすに寝そべって、うつらうつらと半睡眠のような行為を30分ほど。
  • 1540、新宿宙域に移動を開始。程なく大原さやか様のアナウンスでムササビ山に向けて広域移動するのだた。
  • 意識が戻ると現地駅だった。ブリタニア語の修行をしつつつ登頂開始。15分のレッスンを3つ終えたところで、現地に到着する。
  • しばしベンチで読書して、日没を待つ。蝉時雨がいい雰囲気だ。
  • 1840、装備をアクティヴにして、哨戒開始。いつも最初にとりつく外灯には、すでに先客が陣取っていた。65歳ぐらいだろうか。ベテランである。4-5m級のごつい捕虫網とでかいフラッシュライト付きのニコンを装備している。ハンターとシューターの二刀流だ。
  • わたしが隣の外灯に陣をしくと、程なく彼が話しかけてきた。常識的な方だったが、やたらとおしゃべりで、人嫌いかつ採集に集中したいわたしは、場所を変える。
  • 路面が濡れており、ときおり霧雨が来る。いい湿度と気温だ。今日は飛ぶだろう。
  • すぐに大型甲虫の羽音が聞こえてきた。ゆったりとふわふわした飛び方だ。落ち着いてネットインすると、ウスバカミキリだ。どこにでもいる普通種だが、大型で見栄えはいい。ご当地ラベルは持っていないので、キープする。幸先がいいな。
  • すぐに聞き覚えのあるぱららららという軽い羽音。飛翔中は見えなかったが、近くの枝に止まっているところをネットイン。小型のミヤマクワガタ♀。今日はいけるな。
  • ここムササビ山の夜戦宙域は、2kmほどの舗装道路に20本ほどの外灯が立っている。面白いもので、虫が飛んでくる外灯とそうでない外灯がはっきりしている。また、特定の虫が飛んで来やすい外灯もある。わたしが「カミキリ外灯」と呼んでいるところにしばし陣取ると、5分おきぐらいに羽音が聞こえてくる。かなりの入れ食いだ。もちろん、全てを捕らえることはできない。わたしの補虫網は、1.5mであり射程距離が極端に短いので、高所の獲物は見送らざるをえない。その代わりに、頑丈でしなることがなく短いため、格闘戦に威力を発揮する。ショートレンジに入ってきた大型甲虫を次々に捕らえていく。シロスジカミキリ、クワカミキリ、ノコギリカミキリ、ウスバカミキリなどなどどれも普通種だが、捕まえる行為そのものが楽しくて仕方ない。脳内で何度も光が爆発するような興奮。この歳で、この高揚はなかなか得られない。
  • 後半に入ると、ミヤマクワガタ♂を複数回、空中戦でしとめるなど、さらに調子づいた。持参した毒瓶が獲物で一杯になってしまい、予備のタッパーに移し替えたほどだ。特にウスバカミキリは大発生といってよく、10頭をキープしたところで打ち止めとした。
    • ウスバカミキリは成虫になるのに2-3年はかかると言われている。つまり、この大発生は2-3年前に何かがあったということ。食材の樹や天敵や天候などなどに、だ。過去の資料を取り寄せて考察したいところだが、そうなるとこれは、もはや虫採りではなく「研究」になってしまうな。その辺りはプロに任せるぜ。あっしは、ただのしがない虫屋でしてね。


ふふふ、これよ、これでなくては! これが虫採りだ!! 脳内麻薬が大爆発だ!!!!

  • 2130、タイムアウト。多くの虫屋さんは夜を徹して採集するのだが、わたしは根性なしなんでねぇ。やや、実際問題。徹夜で山中を歩き回ったら、どういう体調になってしまうかが怖いお年頃になってしまったのである。哀しいねw