「これは、演習ではなくて実戦よっ!」

軽空母・鳳翔。世界で最初から航空母艦として設計された艦として有名な彼女。帝国において初めて陸上機の発艦に成功。さらに、搭載機が帝国軍航空機初の撃墜スコアを上げるなど、初づくしの戦果を誇る。第一次上海事変に出撃、支那事変に出撃と戦果を上げていく彼女だが、自身の戦果よりも急がねばならぬことが山積みだった。時代が着実にきな臭くなる中、娘たち、すなわち帝国機動部隊の航空母艦達のために、訓練とデータ収集に奔走することになる。やがて、太平洋戦争が開戦。開戦当初は、華々しい戦果を上げていった彼女の娘たちにも転換期が訪れる。ミッドウェイ。4名の娘たちが凄惨な死を迎える中、彼女自身も現役復帰し出撃。エアカバーとして制空戦闘機を発艦させる。しかし、彼女は間に合わなかった。見つかったのはカバーするべき娘、正規空母・飛龍の最期だった。その後も、絶望的な戦況の中、彼女は娘たちのために「母として」訓練とデータ収集に明け暮れた。少しでも娘たちが生き残る可能性を上げるために。殆どの娘たちが死を迎えた終戦の日。母は、洋上に健在だった。戦後、娘たちの魂を回収するように、母は復員輸送艦として約四万人の将兵と民間人を南方から日本へと連れ帰ることに成功。