本編は時間が止まった状態で一休み。今回は過去話で、初めて櫻子さんと出会った編。シリーズ物のお約束ですな。

Miss ハーバー・マスター (角川文庫)

Miss ハーバー・マスター (角川文庫)

ヨット・ハーバーの責任者というかリーダをハーバーマスターと言うそうな。まぁ、例によってそのハーバーマスターは男勝りの佳い女なわけですが。まま、その辺はいいよ、いつもの喜多嶋隆ワールドだから。良くないのは、いつにも増して、おかしい文章と誤字脱字。もう滅茶苦茶だ。粗が目立ちすぎる。編集者はチェックしないのか?? もはやプロの作家の仕事ではないだろう。まさかとは思うが、泥酔しながら書いてないですかね、これ(その可能性は考えられる)。せっかくのウェイオブライフ(生きる流儀)が残念になってしまうのだが。

ぼくは眠れない (新潮新書)

ぼくは眠れない (新潮新書)

アウトドア系作家・椎名誠。怪しい探検隊の隊長にして、野山を駆け巡り焚き火酒を豪快に煽る。精神的な病には最も縁遠いタイプ。一般人の椎名誠のイメージはこんな感じだろうね。わたしのように、殆どの彼のエッセイを読んでいる人間は、椎名氏が不眠症うつ病に苦しんでいる事を、かなり以前から知っているが。その不眠症をドキュメンタリ成分を濃くして、新潮新書で出した。もちろん、いつものシーナ節は健在で、笑える話が半分ぐらいだが、豪快なアウトドア系作家の仮面を剥いだ素顔が赤裸々に告白されており、いろいろな意味で恐怖がジワジワ来る。

わたし自身も「不眠症」なのではないか?といったギワクもあった。何しろ繊細だからなぁ、サケ無しじゃ眠れないんだよ、ヲレ。と思い込んでいたが、たまーに行う休肝日の際は意識が堕ちるまで1時間ほどかかるものの、寝入ってしまえば朝まで目が醒めることはない。かえってアルコールを入れるほうが、小用と喉の渇きで確実に途中覚醒する事が判明した。眠りに入るのに時間がかかるのは不眠症とは呼ばないで、神経質、小心者あるいはアルコール依存症と呼ばれることも多いと知り合いの精神科医に教えてもらったのは数年前のことだ(もちろん多くの例外もあるので注意)。

90歳をとうに超えてから大往生を遂げた祖母の晩年は、不眠症に悩んでいたらしい。もっとも、これも本物の不眠症とは診断されずに単に生活が昼夜逆転していただけとみなされていたようだ。しかし、かかりつけの医師は睡眠薬を大量に処方していたので、祖母はオーバードーズでヤクをガンぎめして、らりらりしまくった。冗談めかして書いたが、夜中のラリパッパによって大暴れしたために、介護していたわたしの両親は眠れなくなり(!)、体重を10kg以上落としてしまった。半年間、両親はラリパッパ老人と連日の夜戦を繰り広げ、ついに(不本意ながら)祖母を介護施設に送る決断をした。