• 2016年の採集旅行というか遠征に出発。たかが国内の近場の二泊三日で「遠征」もクソもねぇだろ! と幾人かの毒者さまはあざ笑うにちがいない。しかし、黙れ、黙れ、だまりなさい。わたしとしては、結構な決意とエネルギーを注いでいるのである。そして、わたしはよく戦っている方だと思うのだ。
  • 時間とそれなりのお金。この2つを馬鹿昆虫採集遠征は容赦なく奪い去っていく。しかし、いつも書く通りに、我々の置かれている状況は常に流動的だ。まずは、何よりも自分自身の健康。お若い毒者さまはまたもやあざ笑うに違いないが、黙って聴いておれ。ニンゲンの身体というのは、約40年ほどで寿命を迎えるのだ。後は壊れていくだけなのだ。したがって、あちこちが常に大なり小なりの不調を抱える事となる。この不調が行動に影響を与えない状況というのは、そうそういつまでも変わらぬ愛を。なのだ。
  • 自分自身の健康だけじゃない。急速に年老いていく親。どーすんのよ。こっちも大問題だぞ。
  • 最後が気力だ。趣味に対する意欲といってもいい。ありとあらゆる楽しみが、年齢を重ねるごとに急激に輝きを失っていくのだ。つまんなくなっちゃうのだぞ!! おっそろしいのぅ・・・。
  • なっ? だからね、旅立つには今しかないんだな。もう躊躇う時間はないんだ。


さぁ、出発だ。30%引きのチケットを確保して大いに満足するわたしだった。

  • 東北新幹線で、一ノ関宙域を目指す。東北新幹線に乗ったのは、記憶にある限りでは16年前だ。岩手県も16年前に学会で訪れたのだった。車内読書はわしらは怪しい雑魚釣り隊の文庫落ち。旅とシーナの馬鹿エッセイ。合わないワケがないよな。


約2時間ほどで着いちゃうのね。近いぞ、一関。程よく寂れた感じで、なによりものんびりとしている。いいぞ、この駅前。

  • 荷物をコインロッカーにほおりこむ。こちらの荷物には着替えなどの基本旅セットが入っている。
  • 1時間に1本の東北本線にトランスファ。まだSuicaは使えるのな。


4両もつながってるのはローカル線じゃない! とお叱りの声も聞こえてきそうだが、やはり旅情が出てくるのでローカル線だよなぁ。

  • 多くの人、というかほぼ全ての毒者さまは興味ないだろうが、無理やりに今回のターゲットについて簡単に解説しておく。マイマイカブリというムシはご存じの方がいると思う。そうそう、あのカタツムリを食べちゃう気持ち悪くて結構でかいカブトムシの痩骨ユーレイみたいな奴だ。このマイマイさんだが、地方によって色々と色彩が異なるのである。特に北東北に生息するマイマイさんは「キタカブリ」と呼ばれ、その美しさはマニヤの間ではすこぶる評価が高い。
  • このキタカブリを今回は仕留めます。ところが、敢えてわたしはセオリー外しを行うのだった。通常、このキタカブリを採る際には、朽木の中で冬眠している所を狙う。寒ーい冬に出かけて孤独に朽木をぱかぱか割っていくのである。ほぼ、このやり方しかwebには情報が出てこない。
  • しかし、わたしは活動しているところをベイトトラップと呼ばれるコップを使った罠で採りに行くのだ。最初から邪道だったのだねぇ。そこに生息しているのだったら、トラップにかかる筈である。違うかね?


今回の脚も電動アシスト自転車である。NTTドコモの提供であり、昨今の通信会社がニヤニヤ笑いながら提供するこの手のサービスにはのっけから疑ってしまう。

  • ともあれ、例によって脳内麻薬が充填されている。電磁カタパルトで射出された勢いでみちのく路を疾走し始めた。
  • 30分ほどで、入念にGoogleMapで偵察していた海域に到達。ほぼイメージ通りの環境だ。ありがたい事に、全く人がいない。


環境はこんな感じ。いわゆるひとつの河川敷で、上記の「朽木の中で冬眠している所を狙う」場合はこの環境で行う。マイマイカブリは飛行できないので、川や道路を大きく超えて移動できない。冬眠している場所=生息している場所と無理やり推定したのだった。

  • 移植ゴテで、穴を開けプラコップを埋めていく。コップには餌。わたしは、いつもの通りカルピス原液で勝負する。
  • 地面に穴を開ける作業は想像以上の重労働だ。すぐに汗だくとなった。
  • ところで、旅の相棒の「真っ赤なNTTドコモ号」は施錠を解除するのにフェリカカードをかざすのだ。カッチョイイ。その度に携帯電話のアンテナマークがなぜか表示されてチカチカと何処かのサーバと通信しているのが非常に気になるのだが・・・。自然にGPSラッキングという言葉が浮かんでくるんだが・・・。