• 探索再開。前回の記憶にある谷戸に到達。当たり前だが、ここでは湿度が上がる。根本で染み出すように樹液を出している木(樹種はわからず)で、未採集のカミキリムシを捕獲。こちらも種類は分からない。知識があると楽しみが増大するだろう。帰宅してからじっくり調べるか。
    • 谷戸(やと)とは、丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形である。また、そのような地形を利用した農業とそれに付随する生態系を指すこともある(Wikiセソセイよりコピペ)。


谷戸には木道が整備されている。モリアオガエルが生息しているらしいが、もちろんホイホイと見つかるわけもない。


ちょっと水中を覗くと、カワニナらしき貝がごろごろと。ホタルがいる可能性は大きい。

  • ここから未探索だ。しばらく木道を進むと、急に開けて広場のようなところに出た。そこには木全体がアバタのようになって樹液を垂れ流している巨木(樹種不明)があった! ここかー!!



クヌギとコナラしか判別できない貧相な知識が呪わしい。なんだろう、この木。とりあえず同定のキモとなるであろう葉っぱを撮影しておく。

  • 一呼吸して、クワガタを木の樹洞からかきだすための針金と強力なLEDライトをアクティヴにした。スズメバチの有無を確認し、ゆっくりと木に接近。梢には、カブトムシが2-3頭歩いているのが見えた。ええい、カブトもノコギリもええんじゃ。ヒラタがターゲットじゃい。
  • そっと一番大きい樹洞に近づく。コクワガタがチョロチョロしている。いざLEDを点灯しようとしたら、かしゃんかしゃんかしゃんという可思議な人工音が聞こえてきた。心拍数が上がった。何だなんだ??
  • 現れたのはチャリに乗った2名の少年。こんな奥まで来るのか!? まま、ようするに地元のカブト・クワガタハンターだ。
  • 2人はヒゲの怪しいおじさんを無視して、樹液の巨木までまっしぐら。息を荒げながら、石や枝を投げつけ始めた。カブトムシとノコギリクワガタがぼとぼと落ちてくるよなぁ。こうなってしまったら樹洞にいるかも知れないヒラタなんて奥に逃げ込んでしまう。あーあ。
    • さすがに少年2人を脅して追い払うような真似はしないぞw しかし、クワガタ屋の中にはヤクザまがいの人間も多く、少年だけではなく大人の採集者も脅迫と暴力によって追い払うことも特に珍しくない。だから、人がいない雑木林で怖いのはニンゲンなのでる。
  • 仕方なく、彼らと遊ぶことにした。通報されないように、なるべく離れて声をかけてみる。「ここ、よく採りにくるのー?」とか「ヒラタは採ったことあるー?」などである。小さな地元ハンター2名によると、この樹はめっちゃ採れるのでよく来る。ヒラタは見たことがないとのこと。しばし、2人のサポートをする。彼らが、石や枝を投げつけて落とした虫の落下地点を教えてあげるのだった。優しいし善人だからなぁ、ヲレは。
  • ずーっと気が触れたように狩りをする彼らに根負け。じゃーねーとお別れした。何十年ぶりだろうか「じゃーねー」という挨拶は。これだけでも中高年のガラスのハートは郷愁に揺さぶれるのだった。
  • 探索再開。針葉樹の多いエリアに差し掛かった時だった。大きい体積の動物が跳ねる音が後方で聞こえた。またもや心拍数が上がる。「跳ねた」ことは間違いない。大きいジャンプだ。ならば、クマではない。ニンゲンでもない。サルでもない。ノイヌ(野犬)でもない。これで4つの危険が排除された。しかし、まだヤバい奴が残っている。イノシシだ。これに出会ったら最悪だ。
  • マニュアルの「ゆっくりと後ろずさりで距離を取る」が思い浮かぶ。そっーと首というか眼球を回して相手を確認するとカモシカの親子だった。ああ、そうかそうか。さっきの糞の出処だ。
  • もう一度ひと跳ねして、カモシカは谷筋に下っていった。


ある一定の距離をとると逃げなくなった。こちらをじっと観察してくる。

  • その後はイベントも発生せずに、里山を周回する。地図上で確認できるルートには全て侵入した。
  • 最後に。どうせ引き返すのだから、先程の樹液の巨木に行こう。まだ諦めきれない。さすがの小さな地元ハンター2名も引き上げているだろう。
  • 巨木に近づいていくとSUV車が停車している。当然だが、自動車の乗り入れは禁止だ。森の入口にはゲートがしっかりとかかっている。ということは、里山の管理者(ボランティアでやっている)かクワガタ屋だ。ステルスモードに移行して接近する。管理者もクワガタ屋もノーサンキューだ。
  • 2人組だった。髪をキンパツに染め上げてタンクトップ姿。はい、決まり。クワガタ屋だ。彼らは杭の打ち込みに使う木槌を後部ドアから取り出して、渾身の勢いで巨木を叩き始めた。クワガタを落とそうとしている。しかし、先程に小さな地元ハンター2名によって殆ど落とされているからであろう、全く虫は落ちてこないようだ。
  • 見つからないように退避開始。やつらがカモシカに蹴飛ばされて、あわよくばクマに頭を齧られるようにと祈りながら離脱していく。最後に嫌なものを見てしまった。
  • 戦果は、センチコガネやらクロカナブンやらの普通種をぽろぽろ。未採集はカミキリムシが1頭。ここは、また来よう。中型のバックパックを装備して珈琲の道具を持っていきたいところ。
  • 地元着は1800。
  • 一旦帰宅して、装備を入れ替え。窮屈で重いトレッキングシューズをサンダルに替えると解き放たれる。銭湯へGoだ。
  • ううむ、6時間の里山歩きからの銭湯からの上がりビールは神々の領域だな。ビールは「アサヒ生」(扉写真)。アサヒビールスーパードライ以外のビールも出していたのですぞ、大兄。そう、コクがあってキレがあるという「アサヒ生」である。知ってる貴方は中高年、飲んだ事のある貴方は初老。まさか復刻するとはな。