scene at 0700-1200
- どんより。アサイチで某精密機器室に移動、新鋭の解析器「烈風」のコックピットへ。
- あれだけ腫れてたリンパ節の割には血球に大した変化はない。有意差は付くでしょうけど。
- ちうわけで、順当な追加データをげとーして引き上げたことである。
scene at 1200-2200
- 渡航関係の戦後処理続き。書類は無事に一次審査を通過、本社に送られていった。回遊してくるなよ。
- 院生氏x2が来襲、迎撃。その他のトド討ちなど。今季の初夜戦に出撃するために、華麗に1800撤退開始。あ、そうだそうだ、プレミアムフライデーだしな。
- 数駅を移動して、昨年に1度だけ訪れている雑木林へ。駅からは徒歩30分ほど。わたしにとっては十分な駅チカである。
- 去年の記憶が曖昧で進入口にたどり着くまでに時間がかかってしまった。ヘッドランプ、強力なLEDライト、ピンセット、チャック付き小袋などの夜戦装備をアクティヴにして探索開始。狙いはヒラタクワガタだ。
- 真っ暗で人気のない雑木林に単独で突入していくのである。いくらおっさんと言えども、恐怖感が全くないわけではない。いつも弊日記には書くが、こういった中途半端な田舎において最も怖いのは、熊や猪ではない。オバケでもない。怖いのはニンゲンである。これまでに危険を感じた事は数度、実際に危機に陥ったことが1度ある。ニンゲンの次に怖いのは、犬である。野犬ならまだマシで、最悪は「ノイヌ」だ。ノイヌとは、飼われていた犬が野犬と化して、その野犬が産んだイヌの事。二代目だな。飼い犬としての習性がなくなっており、野生を取り戻しているから攻撃性がダンチだ。
環境はこんなところ。30分以上歩いても、林が途切れることはない。灯火は皆無で、強力なLEDライトの光が吸い込まれていく。しかし、遠くから新宿行きの直通電車の音が聞こえてくる。マフラをいじった頭の悪いクルマの音も。
- 奥の方に探索を広げると、樹液酒場が計5軒ほども見つかった。コナラが多いな。コナラは年によっては樹液を出さないこともあって、ポイントとしては安定性に欠ける。
中央のコナラが、樹液を出して黒く変色している。
コクワガタさん、こんばんわ。クワガタは、コクワに始まってコクワで終わる。将棋で言えば歩、ガンダムだとザクII。基本だ。
- 探索を開始して1時間ほど。林床からのカサカサ音をキャッチした。瞬時にクワガタ脳からオサムシ脳に切り替わる。ライトを向けると「あっ??」と声が出た。なんだ、このヘンテコなシルエットは。
- やや焦り気味に捕獲すると、クロカタビロオサムシだとすぐに分かった。子供の頃から「飛行可能なオサムシ」として知っていたし、標本では何度も見ていた。しかし、生きている姿を見たのは初めてだ。一瞬で血圧が上がったことが分かる。明るいところで見たら、わたしの頬は赤くなっていたかも知れない。いい歳こいたおっさんが頬を赤らめることなどそうそうはない。これだから、趣味という奴は止められない。
クロカタビロオサムシはもの凄く珍しいムシではない。ただし、分布は局地的とも言われている。つまり、わたしはポイントの開拓に成功したのだ。
- 追加を求めて付近の探索を粘ったが、発見できず。次はトラップをしかけに来よう。毛虫食のクロカタビロが落ちるかどうかは知らんけど。
- 探索を開始してから2時間ほど経過した頃だった。後方からライトの光が近づいてくることに気がついた。心臓が跳ね上がる。ニンゲンだ。この時間にこんな暗い林で何をしているのか。採集者である可能性が高い。反射的にライトを消して木の陰に隠れた。相手を見て、挨拶か無視か、このまま隠れるかの3択。
- やがて敵艦を視認できるようになり、驚く。女子高生じゃないか。何やってんだよ!! これはこれで厄介だ。大声でも出されようものなら、怪しい中高年(わたしの事だ)は窮地に立たされる。
- こちらの姿をアピールした方がよかろうと判断。ライトをつけてムシを探すフリをしていると、このレイプ現場にふさわしい場所を女子高生が1人で歩ける理由が分かった。70%ぐらいは狼なんじゃねぇのかと思うほど巨大なチョビ(別名:ハスキー犬)が護衛についていたのだ。チョビの全長も大きかったが、際立っていたのは体高。頭がわたしの胸ぐらいの位置にあるように見える。もちろん顔は般若で、その双眸からは昏いオーラが滲み出ている。
- チョビは口の周りをヨダレだらけにして「はーっはーっはっはっ」と呼吸も荒い。暑さが苦手なのだろうけど、こちらには威嚇しているようにしか見えない。チョビのご主人が「こんばんわ」と声をかけてきた。こちらもコンバンワと固い声で返した。
参考画像: 西根チョビ嬢。顔は怖いが、優しい気立ての良い女の子。
- この遭遇戦で気力を使い果たした。頃合いだろう。撤退する。
- チョビたちとの戦いはあったが、初めて採集したオサムシで気分は最高である。
scene at 2200-2400
- 地元リターン。チャリに乗り換えて温泉施設へ。
- 足が重いはずである。3万歩、20kmを探索で歩いていた。温湯を駆使して、ゆっくりと入浴。
- 上がりビールが最高に染み渡る。
一隻眼
ターゲットのヒラタは影も形も見えず。大きめのコクワ2頭をお持ち帰りして、林を後にした。
きっと何者にもなれないお前たちに告げる
- 100点。初採集かつポイントの開拓。やったぜ。